2020年03月02日

パッキンの自動画像検査いよいよ運用開始!

2018年7月に『統計解析とAI ~画像認識による自動検査への活用~』とブログに書いたアイデアを、1年かけて精緻化し、経済計算ではとても投資・回収ができないので、「ものづくり補助金」に応募して採択通知が届いた2019年7月に、パーツフィーダー、コンベア、画像診断カメラ、その全体を制御する設計を受け持つそれぞれのメンバーに集まっていただき、システム開発をスタートしました。
検査対象の製品(ワーク)は、数ミリ厚のゴムスポンジシートをプレス機で型抜きしたパッキンです。50円玉くらいの、小さくて、薄くて、軽くて、柔らかくて、静電気でくっつきやすいハンディを持っており、当業界に詳しい方からは否定的な意見をいただきましたが、却って挑戦する気持ちが高まりました。

・パーツフィーダーにワークを供給する”ホッパー”に静電気除電装置を付け、
・S社製の垂直、水平両方向に振動するデュアルモーション方式のパーツフィーダーを地元企業のM精機にカスタマイズをお願いし、特殊塗料を塗ることで最後のワーク1個まで滑らかに出口まで運ばれ、
・そのパーツフィーダーの出口からワークが1個コンベアに落ちた後、次の2個目のコンベアにワークが落ちる間に、M社製のコンベアが秒速60センチの高速で回ることで、ワークの重なりを防ぎ、
・K社製の画像診断カメラがミリ秒の精度で撮影し、OK/NGの信号をシステムに送ります。
・これらのパーツ機能の全体制御する設計・開発を名古屋で一流の設計屋さんが引き受けていただいたことで、完成することができました。 
ワールドカップで善戦したラグビーのように「ONE TEAM」となってはじめて出来上がったありがたさに感激しました。

異品が混入していないか、ピンホールやバリの不具合はないか・・人間の目と指による検査は1秒当たり2個がせいぜいですが、このシステムでは2倍近くまでできます。 
また、「しきい値」を登録しておくことで、良品/不良品の判定のばらつきがなくなります。さらに、私の一番の開発動機になりますが、高齢化が進む内職さんにずっと頼る状況を大きく改善でき、”不良品を見逃したのではないか”という内職さんの心配も払拭できるようになります。  
                                                                     
なお、良品/不良品をカメラ装置に学習させるには  
(1) 製品の形・寸法、ピンホールの大きさなどを数値として登録して診断させるやり方
(2) 良品(不良品)を大量に画像入力し、それ以外を不良品(良品)とするやり方
のどちらも機能的にはできるのですが、入力負荷が小さく、自動診断の立ち上げが早くできる(1)の方式を採用しております。
今後、AIを活用した(2)の方がいいケースも出てくると思います。
1個当たりのパッキンは1円を切るような安価なものも多いのですが、1品番でひと月に百万個を超えるものもあり、されどパッキン・・・にこだわって、                                                     
不良品を1個たりとも流出させないよう、品質と信頼性を高めるべく、アサ倉工業は、これからも進取の精神を持って、変化し挑戦してまいります。
 


2018年10月04日

最適な自動配車のプログラムと最近のAIについて

AIが使えたら苦労しなかったのではないか・・・”
と思えるシステムを無理やり作ったことがあった。
30年ほど前、バブル絶頂期だったろうか、情報システム部門に所属していたとき、物流部から、荷物をどのトラックに最適に載せるかという「自動配車」のシステムを完成させるように言われた。                                                        
当時、荷受待ちのトラックが物流センターから溢れ、まわりの道路をぐるりと囲む中、運転手の待ち時間をなくし、一刻も早く、最適な荷配りをすることは喫緊の課題だった。
例えば、4トントラックの荷台に、浴槽ばかり積めば、重量を余して満杯になり、反対に重いタイルばかりを積めば空間を余して荷重が4トンになってしまう。
また、荷降ろしに応対するお客様からみれば、できるだけ1台のトラックでまとめて受け取りたいし、運転手は、できるだけ少ない店を回って荷降ろしを完了したい。
また、A店とB店は仲が悪いので、同じトラックに荷物を載せないでほしい・・・。     
といったわがままな条件も織り込んで「最適な自動配車」のプログラムを組まなければならなかった。
こういった問題を解決するのに「オペレーションズリサーチ」が役に立つかもしれないと高価な専門書を自腹で買って、穴の開くほど読んでみたものの、こういった泥臭い実務問題には向かなかった。                                                           
幸い「1㎥=0.38t」と容積を重量換算できたので、実重をX軸、容積重量をY軸とし、荷物1個1個を”(x、y)の位置ベクトル”で表わし、その合成モデル化、トラックに積む順序を小さい順や大きい順、その組み合わせ順で、コンピュータの中で何通りもシミュレーションさせて、条件を満たした中から、評点の高いもの(効率よく積んだものなど)を正解とすることで何とか形になった。
一緒に夜中まで付き合ってもらったチームメンバーの力添えあってこそだが、なにせ開発納期が短く、寝る間も惜しんだ体力勝負の中、80点の提案ができれば、あとは人間が補正することでその時は間に合わせた。一から作ることに比べれば圧倒的に早く配車ができ、運転手の待ち時間を何とか減らすことができた。
これを事務計算が得意な「COBOL」言語で組んだので、”良く作ったな”というのが今の感想である。
現在なら、ベテランの積荷(とヘタクソな積荷)のデータを学習させておけば、AIが素晴らしい解答を導き出したかもしれないし、今の運送業界ではいろいろな実用化がされていよう。さらに、帰り便の効率まで考え、ネットワークやクラウドも駆使しながら、複数の会社にまたがった最適な「自動配車」も整備されているのではないかと想像する次第です。
 
蛇足ながら、正月休みも返上してテストしていた頃、物流部の責任者がフラッと来て、どんな様子か尋ねたときに、私は自信無げにつぶやいたらしく、後々になって、それを諌められた。
言われたときの彼の気持ちを考えると、技術屋は最後の最後の結論が確定するまで、ネガティブに弱音を吐くことは厳に慎まねばならないと今もって思い返すのであります・・・。
 


2018年07月12日

統計解析とAI ~画像認識による自動検査への活用~

AI(人工機能)が社会を変える、専門家の職業にAIが取って替わる時代が近いなど AIの話題には事欠かない。
全自動洗濯機やロボットがロボットを作っているうちは通常の科学や技術の進歩として、さほど驚くには当たらないが、車の自動運転や医者の替わりをするとなるとこれは革命である。  
                                                                      
AI(人工知能)の特性は、
(1)人間の脳を研究したモデルから、ニューラルネットワーク・ディープラーニングといって、学習をしながら賢く進化していくAIと、
(2)機械学習といって、あくまで大量データに統計的判断を行って区分けしたり、確率的な判断をさせる特徴をもったAI
の大きく2つに分かれる。

(2)については、統計解析を仕事の中で活用したことがあったので、この領域なら理解できるかもしれない。  
 
統計解析のひとつである「判別分析」の活用例として、 
・これまで全国に49店のスーパーを出店した。 
・出店の業績(成功か失敗)をyとして、出店先の人口、交通量、所得水準、公園の面積などを(x1、x2、x3、・・)とすると、y=f(x1、x2、x3、・・)という関係式が49組できる。
・x1、x2、・・は客観的に獲得できる情報であり、独立変数と呼ばれる。
・これに対し、yは結果であり、失敗して撤退することがあれば、高い授業料を払ったことを意味し、従属変数と呼ばれる。
・この49組の実績データから(x1、x2、・・)がどういうときにyの成功する確率が高くなるかを表す「判別式(関数)」を作る。 
・その後、新たな50番目の出店として、A,B,Cの候補地があったときにそれぞれの人口や交通量などのx値を「判別関数」にかけてyの値を求めると、どの店の成功確率が高いかがわかり、経験と勘を数値に置き換えて意思決定できるという仕掛けである。
                                                                                                                                                                            
また、「クラスター分析」と言う統計解析では、 
クラスターとは、群、塊り、集合体と言う意味であるが、データのグループ分けをグループの重心と各点との距離から、クラスターに分ける手法である。
例えば人間の顔の画像データをインプットすると、目か鼻かなどデジタルデータを区分けした集合体として認識できる。
 
猫の写真を何枚も撮って、これが「猫」だとコンピュータに教えておいたときに別の写真を見せて「猫」かどうか判定する場合はこうした分析手法やさらに「因子分析」によって、「固有値」を算出するというコンピュータが得意の領域がある。
 
AIのプログラムを組むことは私にはできないが、
「猫」を”製品"に、「他の動物写真」を"異品(不良品)”と置き換えると画像認識による異品の検査ができる。原理が同じなら、活用してみたいと思う。 
前提条件として、画像認識するためのパッキンなどの製品が、カメラの下に1個づつ行儀よく並ぶかどうかが問題であるが・・・。





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