2016年06月15日

電話の切り方の心構え・・・『残心』

電話のマナーも、躾けのSの一つとして重要である。電話を掛けたとき、眠くてだるそうな声が返ってくると、うんざりするが、明るい声でテンポよく応対してくれると気分がいい。また、丁寧な言葉づかいでいい感じだったところ、切るときにガシャンとやられるといっぺんに印象が悪くなる。
この電話の切り方の心構えについて、池波正太郎の「日曜日の万年筆」というエッセイのなかの『残心』という作品にこう書いている。

・・・・電話をそなえているのが十人に一人あるかないかの時代で作者が小学生のころ、先生から
「たがいに、はなしが終わっても、ちょっと間をおいてから電話を切らなくてはいけないよ。相手が、まだ、はなすことがあるかもしれないし、・・・はなし終えて、おじぎをするくらいの間をおいてから切るものだ。それでないと相手に失礼となるのだから、よく、おぼえておきなさい」と教えられた。

剣道で相手を打ち据えたあとも構えを立て直し、相手の出方を見るのを「残心」というが、電話で語り終わって尚、あいての様子をうかがったり、帰りを見送られたときに振り向くとまだ立って見まもってもらうのも「残心」だと述べている。
戦前で電話が普及していないときに教えた先生もすごいと思うが、時代を経ても心構えの基本はかわらないということだろうか。声の玄関であり、相手の顔も見えないだけに気をつけたい。

 


2016年04月13日

アサ倉製品(Made by ASAKURA)の誇り と山本周五郎 箭竹(やだけ)

「会社案内」を作り直す時に、一言で想いが伝わるようなメッセージをつけようと思って、浮かんだのが、「メードイン アサ倉」と「誇り(Pride)」。
メードインジャパンには安心のイメージがあり、加工製造職人の誇りも訴求したかったのであるが、念のため英語の得意な友人に確認すると、made inの後には場所を表す語句がくるので、"made by"に直すべしという回答。
当社が提供する製品にこそこだわりを持ちたいということで出来上がったコーポレートメッセージは「PRIDE OF THE PRODUCTS MADE BY ASAKURA」と長たらしくなってしまった。
しかし、このメッセージを反映して、検査部門のミッションがすんなり 『顧客と約束した規格、公差から外れた製品は出荷しない、顧客に渡さない』 に決まる。

ここから先は私の趣味の世界であるが、山本周五郎の「日本婦道記」に「箭竹(やだけ)」という短編小説がある。
徳川4代将軍家綱が、弓を射ると
『矢はまるで光の糸を張ったように飛び、・・こころよい音をたてて的につき立った。・・・よく注意してみると「大願」という文字が彫りつけてあるのだった』
というところから始まり、その出所を調べろという将軍の申しつけを受けて、岡崎の水野けんもつ忠善が製作者「みよ」を見つけ出し「大願」の訳をただすという物語である。
武士の妻の忠義というのがテーマであるが、
『大願の二字はけんもつの目にこそ触れめとて彫り付け候ものに・・・おそらくはみよの一心を神明の加護せさせたまうところと存じそろ』
というくだりではつい目がうるんでくる。魂を込めて作るとはこういうことであろう。

誇りというと”誇示、誇大”というイメージがあるが、アサ倉の「PRIDE」はも少し静かで謙虚に深く製品に託す想いを表している。
この物語ほど大仰ではないものの、誠実にベストを尽くしてお客さまに満足していただけるよう惜しまない努力を継続していきたい。




 




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