2020年03月16日

オリンピック開催の可能性とコロナウイルス対策  

トランプ首相が無観客で開催するくらいなら、1年延期したらどうかと発言したが、安倍総理や小池東京都知事が、中止や無観客はあり得ないと表明した。今年の開催を中止と言おうものなら不届きものと一喝されそうな雰囲気があった。
だが、果たしてそうだろうか。
                                                                                   
 経済(損得)の影響
TOKYO開催が決定後、それに向けハード・サービスなどの投資が着々と進み、7月24日の開会式に向けた聖火リレーはもう始まっている。     
事業経営者の立場からみて、もし中止になれば損害は、想像を絶するものになるだろう。乾坤一擲の投資が回収できない影響は、株価下落、倒産増を招きかねず、泣きっ面に蜂が集団で襲って来るようなものだ。
                                                                                   
 開催したときの交通・物流事情の現実 
円滑な運営ができるように『東京都オリンピック・パラリンピック準備局』というサイトがあり、さらにクリックしていくと「2020TDM推進プロジェクト」が出てくる。(https://2020tdm.tokyo/index.html
TDMとは「交通需要マネジメント」のことで、自動車の効率的利用や公共交通への利用転換などによる道路交通の混雑緩和や、鉄道などの公共交通も含めた交通需要調整をする取組みであり、何月何日何時のどの道路、鉄道がどれくらい混むかといった精緻なシミュレーションの地図が現われ、時差通勤や渋滞を減らすなどの対策や協力を具体的に示している。
東京23区に1,000万人が住み、ただでさえラッシュアワーや渋滞が恒常化しているところに、海外から最大同数ほどの観光客、関係者が押し寄せるとすると、いくらオリンピックスタジアムや選手村を整えても円滑に運営できなければ意味がないので、こうした検討・準備が国家的プロジェクトとして行われるのは当然である。

 今のコロナウイルス対策との矛盾
イベント中止、不要な外出の自粛といった要請が行政から発信されている。
「クラスター」と呼ばれる集団感染防止に向けて休校にしたり、デイサービスも控えろなどと多少の副作用にも目をつぶれという案内である。
密室で換気が悪く隣同士の距離が取れないところは感染しやすいから控えるようにという情報提供があった割には、満員電車の危険度についてのアナウンスは遅かったような印象がある。 
オリンピック開催のGO/NOT GOを議論する上で、上述の極めて緻密なTDMの視点が開示されないのは不自然でもあり恣意的な匂いがする。
一方、世界的な感染が広がる中、WHOがパンデミックを宣言し、株価は急落し、 各国では思い切ったリスク対策が次々と打ち出されてきている。
                                         
 リスクマネジメントセオリー
リスク管理の基本は「最悪を想定し、優先順位(トリアージ)を判断して、取り返しのつかないリスクを回避すること」であり、準備したことが取越し苦労(空振り)に終わったら”よかったね”という世界である。 
クイーンエリザベス号への支援を自衛隊に依頼したとき、彼らはリスク管理の訓練が身についているので防護服に身を包んで行動したが、厚労省関連者は平時の服装で往来していて(感染した)とある番組で聞いたが、非常時での常識を持たない組織ならありそうなことだ。
アメリカ感染症研究所のファウチ所長は「大げさくらいでちょうどいい」といったが、いたずらに不安を煽るからといって事実を開示せず、それが元で対策が後手後手にまわる政府の見識のなさ(野党も同様か)で国民の犠牲(最悪感染死)を増やさないことを願っている。 
                                                                           

   上記から導かれること  
オリンピック、パラリンピックを目標に切磋琢磨してきた選手やその関係者にはお気の毒だが、予定通りに開催できるハズがないというのが常識的な結論ではないか。
経済的には大打撃だが、強引に開催へと中央突破したら、日本だけでなく世界的なクラスター感染をみすみすわかっていながらやったのかと医学的・人道的非難を免れまい。                                                                                                                                  

   損得のものさしからやさしさのものさしへ 
渋沢栄一は「論語と算盤」を拠り所として事業を進めたと述べているが、オリンピック・パラリンピックという平和やある程度のゆとりある社会を前提としたとしたスポーツとそのビジネスよりも新型コロナウイルス感染症の死者が6,000人を超えた現実とそこから想像できる弱者、貧困社会に向けて人として当たり前の優しさを優先するものさしを持つことが必要ではないだろうか。間違った踏み絵をして、取り返しのつかない後悔をしないよう望みたい。
           
 原点に帰れ
何十年も前に、父が私に瀬島龍三の講演カセットテープを渡してくれた。
青春を第2次大戦時に過ごした父にとって、陸軍参謀、シベリア抑留、伊藤忠商事会長という経歴を持った人の話に、感じるところが多かったと思う。
印象に残るのが、
先が見えない、そんなときこそ原点に帰ることだ。原点とは、守るべきを守り、攻めるべきを攻めることだ
という、戦略家に共通するキホン的な考え方を強調したところである。
政府もコップの中の嵐のような小さな議論に時間を割かず、瀬島龍三ならこの一点を死守したに違いないという原点をどっしりと示していただきたい。                                                        令和2年3月16日         


2017年07月26日

一番強い横綱が一番稽古する ~祝 白鵬 1050勝~

横綱白鵬が平成29年の名古屋場所12日目で魁皇の持つ1,047勝の最多勝記録に並び、千秋楽で1,050勝、39回目の幕内最高優勝を果たした。
 
白鵬は入門当時 175センチ、68kgで私より少しだけ大きいくらいだった。2001年3月場所初土俵では3勝4敗と負け越している。ここから、2004年5月新入幕、2006年5月初優勝と続き、気の遠くなるような勝ち星を積み重ねて現在に至るわけだが、テッポウや四股などの基本的な稽古を今なお怠らないとテレビで解説していた。こつこつと継続した努力が実を結んだわけで実に素晴らしい。
勝率や負け数を考えると、まだまだ記録は伸びると思うが、“張り差し”や“カチ上げ”などはできれば少し控えて、前人未到の高みに向けて、『修証一等(注)』の精進を続けていただくことを願っている。
 
(注)修証一等について
道元禅師の正法眼蔵「弁道話」で“修証これ一等なり“すなわち修行と証(さとり)は別のものではないと示しておられる。
修行することと悟ることは同等で修行して坐禅する姿がそのまま仏さまのお姿ということだが、私は修証一等を、
一番強い横綱こそが(ひたすら)一番稽古することだ、というように理解した。
これまでこの解釈が間違っていたというようなケースに合ったことはないと思っている・・・・。
 


2016年08月09日

イチロー3000本安打・・・百不当のイチローなり

平成28年8月8日、米大リーグ・マーリンズのイチロー外野手が3,000本安打を達成した。日本での1,278安打を加えるとピートローズの4,256安打も超えるすごい記録である。
イチローは、日米通算4,000本安打を達成したとき、
『4,000の安打を打つには、8,000回以上悔しい思いをしてきた』
と言っている。
成功には失敗の積み重ねと失敗してもあきらめないで続けることが必要であるが、失敗のたびにきちんと検証できる失敗をしてきたのだろう。
これに関して、浅草のお寺で一緒に説法を聴いた友人から
『いまの一当は、むかしの百不当の力なり、百不当の一老なり』
というメールをもらったことがある。
ようやく当った「一当」はそれまでの百回のハズレを積み重ねた鍛錬があったからこそだという意味であり、
道元禅師「正法眼蔵」の中の
『仏道の修行をひたすら求めていくうちにようやく真実のさとりの道を得ることができる』・・・という一節である。
イチローの記録はまさに”百不当のイチロー”であった。
また、今回の記録についてイチローはインタビューの中で、
『僕が何かすることで、僕以外の人たちが喜んでくれることが今の僕にとって何よりも大事ということを再認識した瞬間だった』
と答えているが、哲人にふさわしい。
イチロー選手ほど頂上を極めるようになると、フッと悟るような経験があり、それをいくつも積み重ねた心境なのだろう。
”求道の精神”の根本はどんな世界でも共通するものがある。
オリンピックでの日本人の活躍とも重ね合せて、大変うれしいニュースであり、よい刺激をいただきました。


 


2015年10月27日

なぜゴルフボールは温めたほうがよく飛ぶのか

テニス・野球のボールはゴムの反発弾性を活かしたものだが、ゴルフボールにもこの性質が使われている。
現在使われているツーピースボールのコアの材質は反発弾性の高い「高シスポリブタジエン」という生ゴムが使われている。
ボールはクラブヘッドに衝突した瞬間変形し、クラブヘッドから離れた瞬間、変形からの回復が始まる。
クラブヘッドからもらったエネルギーを飛距離に活かすには、変形からの回復時間が短いほど有利である。
「高シスポリブタジエン」のゴム分子鎖の運動は温度が高いほど活発(変形からの回復が早い)になるため、温度が高いほど飛距離が伸びる。
プロゴルファが冬場にポケットで温めたボールをティーアップするのは理に適っている。




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