2016年06月15日

電話の切り方の心構え・・・『残心』

電話のマナーも、躾けのSの一つとして重要である。電話を掛けたとき、眠くてだるそうな声が返ってくると、うんざりするが、明るい声でテンポよく応対してくれると気分がいい。また、丁寧な言葉づかいでいい感じだったところ、切るときにガシャンとやられるといっぺんに印象が悪くなる。
この電話の切り方の心構えについて、池波正太郎の「日曜日の万年筆」というエッセイのなかの『残心』という作品にこう書いている。

・・・・電話をそなえているのが十人に一人あるかないかの時代で作者が小学生のころ、先生から
「たがいに、はなしが終わっても、ちょっと間をおいてから電話を切らなくてはいけないよ。相手が、まだ、はなすことがあるかもしれないし、・・・はなし終えて、おじぎをするくらいの間をおいてから切るものだ。それでないと相手に失礼となるのだから、よく、おぼえておきなさい」と教えられた。

剣道で相手を打ち据えたあとも構えを立て直し、相手の出方を見るのを「残心」というが、電話で語り終わって尚、あいての様子をうかがったり、帰りを見送られたときに振り向くとまだ立って見まもってもらうのも「残心」だと述べている。
戦前で電話が普及していないときに教えた先生もすごいと思うが、時代を経ても心構えの基本はかわらないということだろうか。声の玄関であり、相手の顔も見えないだけに気をつけたい。

 




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